整形外科
ご挨拶
神奈川県立こども医療センターは小児専門病院として国内最大級の診療圏を有し、神奈川県の小児人口120万児、横浜市の小児人口50万児に対して、他科医師、看護師、検査技師など、大学病院や地域基幹病院などにはない小児治療に特化した、国内標準以上の小児整形外科治療を提供しています。
また、当院は小中学校を有し、肢体不自由児施設も併設していますので、長期療養を要する場合には併設された学校に通いながら、リハビリテーションや手術を含めた総合的な治療を行うことができる数少ない病院のひとつとして、ご家族の方に大変喜ばれています。
これまでも定評のある内反足治療、ペルテス治療に加え、近年は小児脊椎疾患に関して全国有数の手術件数となっています。特に、脳性麻痺のような神経筋性疾患や染色体異常、精神発達遅滞といった障がいのある子ども達の側弯症手術やダウン症に伴う環軸椎不安定に対する手術を積極的に行っております。今後も、これまでに蓄積された豊富な経験をもとに、脊椎疾患をもつ障がいのある子ども達の未来の力になれるよう努力してまいります。
整形外科部長 中村 直行
整形外科の特色
一般病院では対応が難しい小児整形外科疾患に対し、他科と連携し診断・治療を行っています。当センターは肢体不自由児施設を持ち、長期療養を要する患児は併設された学校に通いながらリハビリテーションや手術を含め、総合的に治療を行うことができます。スタッフは総長、整形外科部長兼肢体不自由児施設長、ほか常勤医師4名の計6名です。
対象とするのは全ての小児骨・関節疾患ですが、特に脊柱変形、足部変形、股関節疾患、四肢の短縮・変形が多いです。先天性内反足に対しては、早期のギプス矯正と手術の併用によって、二分脊椎などの麻痺性疾患の足部変形は装具療法や手術によって機能的な足を再建、維持しています。先天性股関節脱臼の装具治療が無効なものには手術で対応しています。特にバリアフリーな肢体不自由児施設を利用出来ることは、歩行などの制限が治療中に生じる下肢疾患のリハビリテーションにおいて非常に有用で、ペルテス病は完全免荷することで、大腿骨頭すべり症は適切な手術後に免荷を行うことで股関節変形を防止しています。四肢の短縮・変形はイリザロフ創外固定器やエイトプレートなどにより延長や矯正を行っています。脳性麻痺や多発性関節拘縮症はリハビリをおこないながら必要に応じて手術を行っています。脊柱側弯症は、現在当科で取り扱う疾患の中で最多となっていますが、装具療法でコントロールできず変形高度なものに手術を施行しています。また骨肉腫などの悪性骨軟部腫瘍は腫瘍科と協力し可能な限り患肢温存療法を行っています。
外来診療担当表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | 中村直行 大庭真俊 河邉有一郎 (新患) |
(手術) |
中村直行 百瀬たか子(新患) 大庭真俊(新患) 横山弓夏 津澤佳代 |
中村直行 (手術) |
中村直行 (相談) 百瀬たか子 横山弓夏 (新患) 河邉有一郎 津澤佳代 (新患) |
午後 | - |
(手術) |
大庭真俊 |
中村直行 百瀬たか子 大庭真俊 横山弓夏 河邉有一郎 津澤佳代 |
(手術) |
スタッフ紹介
中村 直行 / 障害児入所施設局長、肢体不自由児施設長、整形外科部長
専門分野 | 脊椎、股関節、四肢変形 |
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取得資格 | 博士(医学)、日本整形外科専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本側弯症学会神経筋性・難治性側弯症委員、日本小児整形外科学会理事・評議員、難病指定医、横浜市立大学非常勤講師、日本側弯症学会評議員 |
百瀬 たか子 / 医長、肢体不自由児施設医務課長
専門分野 | 股関節、下肢変形、外傷 |
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取得資格 | 日本整形外科専門医 |
大庭 真俊 / 医長
専門分野 | 小児整形外科、股関節外科 |
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取得資格 | 博士(医学) 日本整形外科学会 専門医・指導医、義肢装具等適合判定医師、身体障害者福祉法第15条指定医、難病指定医、産業医 |
津澤 佳代 / 非常勤
専門分野 | 上肢、股関節 |
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取得資格 | 日本整形外科専門医 |
横山 弓夏 / 医員
専門分野 | 小児整形外科 |
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取得資格 | 日本整形外科専門医 |
河邉 有一郎 / 医員
専門分野 | 脊椎、小児整形外科 |
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取得資格 | 日本整形外科専門医 |
診療対象疾患
小児整形外科全般(一般外傷を除く)。小児脊柱変形。
当科が対応していないもの代表例を以下に記します。ご紹介いただく際の参考になれば幸いです。
- 一般外傷(当院で綿密な管理を要する特殊な合併症をお持ちの患者様は受け入れています)
- 脊髄腫瘍(→脳神経外科)
- 漏斗胸を含めた肋骨/胸郭変形(→他院)
- 手指の多合指(→形成外科)
- 血管腫(→他科、専門的な他院への紹介)
診療予約
診療は完全予約制です。
ご紹介、予約に関しましては、ご所属施設の診療情報提供書をご利用いただき、当院地域医療連携室までご送付ください。当院から直接ご家族へ診療予約日のご連絡をさせていただきます。
但し、早急な相談が必要な場合(骨悪性腫瘍の疑い、乳児化膿性股関節炎など)は、まずは当科部長宛に直接お電話を下さい。また、一般外傷の受け入れは困難ですが、当院他科で綿密な管理をされており、当院での治療が望ましい特別な疾患(心疾患、系統疾患など)をお持ちの患児に関しては受け入れます。
小児整形外科領域は非常に幅広く、患児の疾患状況によっては我々スタッフの専門性ではカバーしきれない場合もあります。その際は、他施設の専門医ともよく相談をし、必要であれば他院紹介も行います。最終的には、患児が受ける治療の質を高める事を目指します。
当院には小児がんセンターもありますが、悪性骨腫瘍に関しては神奈川県立がんセンター骨軟部腫瘍科、横浜市立大学整形外科の協力を仰いでいます。