
児童思春期精神科
主な取り扱い疾患
神経症(不安障害、強迫性障害、適応障害、身体表現性障害など)、統合失調症、そううつ病、摂食障害、発達障害(知的障害、広汎性発達障害など)、多動性障害、情緒障害、チック、身体疾患にともなう精神障害、他
児童思春期精神科診療の概要
当科では幼児期~思春期にかけて起こる精神疾患全般、および発達障害と関連する問題についての診療を行っています。相談内容は抑うつ、不安、緊張、苛々、情緒不安定、強迫観念・行為、幻覚、不眠、食欲不振、粗暴行為、自傷行為、不登校、チックあるいは抜毛といった症状に関する相談など多岐にわたります。またコミュニケーションの問題、こだわり、多動といった幼児期以降の発達傾向に関する相談も受け付けています。6名の常勤医師と1名の精神科専門研修医が入院治療と外来治療を担当します。外来治療においては、必要に応じて心理療法や心理検査を担当する心理士、作業療法を行う作業療法士、福祉相談や地域との連携を行う精神保健福祉士などと連携をとり治療を行います。入院治療においては、こころの診療病棟看護師、横浜南養護学校小学部、中学部の教員などとも連携を図りチーム医療を行っています。また、地域の小児科や保健所、児童相談所などとも連携を図り地域のメンタルヘルスの向上にも取り組んでいます。
当科を受診される予定の保護者の皆さまへ
当科は完全紹介予約制を取っております。受診を希望される場合は小児科医や精神科医などかかりつけの医師からの紹介状をお願いしています。かかりつけ医からの紹介状を当院にお送りいただいた後に具体的な予約の日時について院内の担当部署から封書でご連絡を差し上げます。保護者用問診票、10歳以上のお子様の場合は患者用問診票が同封されますのでご記入の上ご来院ください。初回の診察は担当の精神科医が約1時間お子様、保護者の方のお話を伺います。初診には当科で研修中の医師や心理士の同席をお願いする場合がございますが、同席をお断りいただくことも可能です。初診時もしくはそれから数度の外来で診断をし、精神科的治療の必要性がある場合には、お子様と保護者の方と相談させていただきながら治療方針を決めます。薬物療法をお勧めする場合もありますが、この場合もお子様および保護者の方と相談させていただいた上で決定します。また福祉機関や教育機関との連携や情報交換を行う必要がある場合も相談させていただきます。精神科に訪れるお子様の中には身体疾患によって精神的な変調をきたしている場合が時にみられますので、必要に応じて血液検査、レントゲン写真、頭部CTやMRI、脳波検査など身体的検査や診察を行ったり一般科医師との連携を検討することもございます。また特定の疾患や症例について、臨床薬治験への参加や研究(学会・論文での報告)へのご協力をお願いすることもあります。なお、初診対象年齢は15歳(中学3年生)までです。初診以降、継続診療の後18歳を迎えた場合は原則的に成人対象の精神科へご紹介させていただきます。
「思春期心身症外来」開設のご案内
当科では、これまで中学生年齢以下の方に限り初診の受付をさせていただいておりましたが、この度、高校生年齢(15-18歳)で気分不快、立ちくらみ、痛み、その他自律神経症状など、身体の症状が認められ、その背景に心理的・精神的疾患の関与が疑われる患者さんのための「思春期心身症外来」を開設いたしました。
受診に当たっては、予約が必要となります。これまで通り、医療機関からの情報提供書(紹介状)をお送りいただき、診療日をご案内させていただきます。
初回の診療は、当センターで同じ神奈川県立病院機構に属する県立精神医療センターの思春期外来の医師が中心となって行い、2回目以降の診療は精神医療センターの思春期外来に移っていただきます。(この場合、精神医療センターでの初診料は発生しません。)
また、摂食障害(拒食症、過食症)などの身体的症状が認められる場合は、 これまで通り、中学生年齢以下の方は当センターで対応させていただきますが、高校生年齢の方は、他の総合病院の精神科への受診をお願いすることとなります。
当科を受診される予定のお子様へ
最近「なんだかつらいな」「前とはちょっと違ってこころの調子が悪いな」と感じていることはありませんか?
例えば・・・
「最近、眠れない」「眠れなくて朝までおきている」「緊張して学校に行きにくい」「学校に行く前になるとおなかが痛くなったり、頭が痛くなったりする」「疲れやすくて学校でがんばる気力がわかない」「何だかいらいらして家族にあたってしまう」「汚れが気になって何度も手をあらってしまう」「何だか悲しくなったり、泣いてしまうことが多くなった」「いつもと比べて食事がたべられなくなった。おいしくない」「太るのがこわくて食べられない」「何だか死にたい気分になった」「自分を傷つけてしまう」「最近、自分のまわりの世界がかわってしまった気がする」「頭の中で声が聞こえる」「みんなに意地悪されている感じがしてつらい」など
心の中の大変なことや苦しいことをそのままにせず、しっかり休んで治療を受けることで、もとの元気な状態に戻ることも多いです。元気な状態になれば、今まで悩んでいた学校生活や友人関係、家族関係もうまくいくかもしれませんし、どのように解決したらいいかが分かるようになるかもしれません。子ども専門の精神科の医師があなたのお話を聞いて、どうすれば良いか一緒に考えますので、ぜひ病院に来てお話してみてください。もし、お話ししたくない時にはむりにお話を聞くことはありませんので、安心してください。
児童思春期精神科セミナー こども医療センター医学誌別刷
各年度をクリックするとPDFファイルのダウンロードが可能です。
- 特性故に困難が重なり,顕著な情動不安定を呈した高機能自閉スペクトラム症の小学生
- 心の葛藤に悩むクライエントとソーシャルワーカーの7年間(中学~成人まで)の関わり
- 器質的に説明できない身体症状が遷延する,先天性心疾患の中学生
(参考)当センターにおける緩和ケアサポートチームの活動 - 発達障害を疑われ初診となり,経過中に精神病性障害を発症した中学生
- 子どもの精神疾患の基本的な考え方
- 病院受診に至るまでのソーシャルワーカーの役割
- 心理治療(カウンセリング)について
- 発達障害の二次障害とはなにか?
- 子どものトラウマ反応について
- 心からくる体の症状 身体表現性障害について
- 慢性疾患・身体疾患を持つ子どもへの心理的支援
- 子ども本人に身体の病名を伝えるということ
- 思春期の子供に精神疾患を伝える時
- 発達障がいをどう伝えるか
- 本当の意味で発達障がいを受け入れていくということ
- 病院受診に至るまで
- 自分の特性を理解して病気を乗り越えていくこと
- 自分の治療を、自分で決めていくこと
- 自らの疾患を受け入れ前向きに生きていくこと
- 多職種で行う児童精神科診療の概要
- 生活を通した関わりが治療的になるとき
- アクティビティ(作業活動)を通してみえること
- 心理検査・心理治療を介した理解と支援
- ことばで治療すること
- 児童精神科専門病棟があるこども病院
- 地域精神科クリニック
- 精神科病院で児童思春期の入院治療を行う大学病院
- 心をつなぐ
- 児童精神科における薬物療法概論
- こども医療センターにおける臨床治験の現状
- 各論
①睡眠薬・抗不安薬・抗うつ薬
②抗多動薬
③抗てんかん薬・抗精神病薬
- 当院における栄養サポートチーム(NST)の役割
- 自閉症スペクトラム児の食事の傾向と対策
- 摂食障害患者への精神科診療の実際 -神経性無食欲症と嘔吐恐怖を中心に-
- 当センターにおける精神科リエゾン・コンサルテーションの実際
- 当センターにおける小児緩和ケア
- 心理的問題で下肢の疼痛が遷延した一例
- 身体的処置に行き詰った親子への支援の一例
- せん妄の評価と対応
- 身体疾患をもつ子どもの思春期~慢性疾患の受容を中心に~
平成24年度(神奈川県立こども医療センターにおける児童虐待の対応)
- 当院における虐待対応の実際
- 虐待症例検討部会を通して保護に至った代理ミュンヒハウゼン症候群の一例
- 虐待は起こるべくして起こるのか?虐待のカテゴリー別リスク因子の検討
- 母の前で虐待通告を行ったダウン症の一例
- 精神科的支援により状況改善をみた注意欠陥多動性障害(ADHD)の被虐待例
- こころの診療病棟における被虐待症例の入院治療
- 児童精神科医が使うクスリ
- 不適切な養育を受けた子どもの特徴とその対応
- 精神疾患をもつ養育者への支援
- 子どものチック
- 子どもの食行動異常
- 子どもの精神病エピソード
- 子どもの心をどう捉えるか -発達障害と反応性疾患の理解-
- 神経性無食欲症への対応 -初期治療のポイント-
- 子どもの身体不定愁訴をどう捉えるか -起立性調節障害と心の問題-
関連リンク
- 発達支援部 臨床心理科
- こどものこころのケアネットワーク事業(外部リンク)
- 子どもの心の診療機関マップ(外部リンク)