救急・集中治療科
ご挨拶
当院におけるICUは昭和51年、当時の循環器病棟に開設された3床の循環器ICUを端緒とします。昭和57年、当時の本館5東病棟にICU3床が設置され、心臓病以外の重症患者さんの受け入れも始まりました。平成14年には救急診療科新設に伴い、HCU5床が本館5東病棟に整備されました。平成18年の病院改築に伴い、循環器ICUと5東ICUが統一され、現在はICU病棟10床、HCU1病棟14床となっています。
救急集中治療科は主に県内の重症な小児患者さんの治療にあたっています。小児病院の特徴として先天性心疾患を始めとする外科系疾患術後患者さんの入室が多くなっています。
科員一同、可能な限り病状や治療方針の説明に努めるつもりでおりますが、お子さんの治療を優先させていただく場面も多々あるかと思います。
一日も早いお子さんの回復のため、ご理解いただけますと幸いです。
救急・集中治療科の特色
集中治療とは重症患者さんに対する総合診療であり、最適な医療を提供するべく専門診療科の先生方と連携して治療にあたっています。各専門医の特長を生かしたオーダーメイドの医療を提供できるよう努めております。
診療内容
小児専門病院の特徴でもある様々な先天性疾患に対する手術後の管理が主たる診療内容となっていますが、敗血症、多臓器不全、急性脳症、急性心筋炎などの重症患者さんにも対応可能です。
主な取り扱い疾患
先天性心疾患、外科系疾患術後、急性心筋炎、ショック、多臓器不全など
スタッフ紹介
林 拓也 / 部長
経歴 | 慶應義塾大学 H10年卒 |
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専門分野 | 小児集中治療、小児救急、小児循環器 |
取得資格 | 小児科専門医、集中治療科専門医、小児救急医学会評議員 |
所属学会 | 小児科学会、小児循環器学会、集中治療学会、小児救急医学会、呼吸療法医学会 |
ひとこと | 神奈川県内の重症なお子様を救命できるよう、チーム一丸となって努力いたします。 |
清水 寛之 / 医長
専門分野 | 小児循環器 |
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取得資格 | 小児科専門医 |
所属学会 | 小児科学会、小児循環器学会、小児集中治療研究会、日本集中治療学会 |
ひとこと | チームの一員として術後管理を中心に重症患者管理に貢献できるよう頑張りたいと思います。 |
梶濱 あや / 医師
専門分野 | 集中治療/循環器 |
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取得資格 | 日本小児科学会専門医・指導医、胎児心エコー認証医、PALSインストラクター |
所属学会 | 日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本小児循環器学会、日本胎児心臓病学会、日本成人先天性心疾患学会 |
ひとこと | お子さんとご家族がより良い時間を過ごせるよう、尽力いたします。 |
山田 香里 / 医員
専門分野 | 小児科、小児集中治療 |
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取得資格 | 小児科専門医、集中治療専門医、PALSインストラクター、日本医師会認定産業医 |
所属学会 | 日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本呼吸療法医学会、日本救急医学会、日本小児救急医学会、日本小児呼吸器学会 |
ひとこと | 多職種で協力して、より良い医療を提供できるよう努力していきます。 |
佐々木 恭介 / 医師
専門分野 | 集中治療、小児科一般 |
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取得資格 | 小児科専門医、PALSプロバイダー |
所属学会 | 日本小児科学会、日本集中治療医学会 |
ひとこと | 病気の治療だけではなく、お子さんや親御さんの不安もとれるよう努めたいと考えております。 |
2018 | 2019 | 2020 | 2021 | ||
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入室総数 | 424 | 391名 | 371名 | 274名 | |
入室期間 | 平均値 | 7.2日 | 7.9日 | 6.9日 | 8.8日 |
中央値 | 2.0日 | 4.0日 | 4.0日 | 4.0日 | |
ICU死亡数 | 18名 | 11名 | 15名 | 7名 | |
(死亡率) | 7.4% | 2.8% | 4.0% | 2.3% | |
PIM3から算出した予測死亡数 | 25 | 25 | 19 | 12 | |
(標準化死亡比) | 0.72 | 0.44 | 0.79 | 0.58 | |
術後入室数 | 総数 | 342名 | 282名 | 281名 | 224名 |
心臓血管外科 (人工心肺手術) |
224名 (173名) |
195名 (155名) |
232名 (170名) |
174名 (138名) |
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脳神経外科 | 43名 | 24名 | 17名 | 34名 | |
外科 | 37名 | 39名 | 22名 | 12名 | |
整形外科 | 28名 | 16名 | 6名 | 2名 | |
形成外科 | 9名 | 7名 | 4名 | 3名 | |
泌尿器科 | 1名 | 1名 | 0名 | 0名 | |
人工呼吸器管理 | 248名 58.5% |
259名 66.2% |
269名 72.5% |
213名 77.7% |
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挿管期間 | 平均値 | 5.0日 | 4.7日 | 4.5日 | 5.1日 |
中央値 | 2.0日 | 2.0日 | 2.0日 | 2.0日 | |
再挿管 | 13名 5.2% |
18名 6.9% |
12名 4.4% |
11名 5.1% |
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NPPV管理 | 25名 | 19名 | 26名 | 8名 | |
HFNC管理 | 10名 | 11名 | 148名 | 86名 | |
NO管理 | 22名 | 31名 | 29名 | 41名 | |
ECMO施行 | 12名 | 9名 | 11名 | 3名 | |
CKRT施行 | 20名 | 23名 | 15名 | 8名 |
当科の特徴
- 豊富な小児先天性心臓手術症例数を誇り、周術期管理を学ぶことができます
- 小児の血液浄化療法を自分の手で出来るようになります
※血液浄化療法を避けるための利尿薬の効果的な使用方法も学べます - 小児のHFNC、NPPVから人工呼吸管理まで幅広い呼吸管理療法を経験できます
- 急性期の小児に対する漢方薬の使用方法を学べます
ICU 10床、HCU 14床における小児重症患者管理を他科との連携のもとに行っているmandatory critical care consultation ICUです。当院には小児医療各分野の専門医が揃っていますので、適材適所の観点から必要な時に必要な専門家の力を動員して治療にあたっています。救急集中治療科は、循環呼吸管理、栄養管理、水分電解質管理などを主に担当し、当科オリジナルのマニュアルの下、重症患者管理のマネージメントに努めています。
コロナ禍に伴い一時的に手術数が減少していましたが、本年度の年間開心術は200件近くにまで達するペースに回復しています。神奈川県における小児心臓手術の大半を担っていますので、今後も症例数は増加傾向となることが予想されます。VSD根治術よりTAPVC、TGA、HLHSなど複雑心奇形に対する手術の多いことが特徴です。肺血管抵抗への影響を考慮し、周術期にバソプレシンを積極的に導入しており、小児におけるバソプレシンの使用方法についても習熟できます。利尿薬はGFRの増加と尿細管での再吸収を考慮したプロトコールによる利尿薬管理を行っています。
当科の最大の特徴は、小児先天性心疾患の周術期管理と小児AKI管理にあります。小児血液浄化療法に関しましては、国内屈指の施設です。また、漢方薬を使用することで西洋医学では手の届かない部分の穴埋めを心掛けています。特に消化管機能の調節には西洋医学にない様々な効果が期待できます。漢方薬の使用経験があると診療の幅が広がります。
PICUでの診療に手詰まりを感じていたり、診療アイテムを増やしたいとお考えの先生、ご連絡お待ちしております。
連絡先 | 神奈川県立こども医療センター救急集中治療科 林 拓也 |
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メールアドレス | hayataku@mxj.mesh.ne.jp |