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形成外科

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主な取り扱い疾患

 口唇口蓋裂、頭蓋顎顔面症、他

はじめに

 先天異常、特に口唇口蓋裂が多く、受診患者は神奈川近隣だけでなく全国から紹介されます。手術術式を含めて独自のシステムをとっており、成人までに最小手術回数(片側及び両側完全唇顎口蓋裂で1~3回)ですみます。顎の発育・言語成績ともに良好で、当センターの特徴の一つである他科(新生児科、耳鼻科、言語治療科、歯科、ソーシャルワーカー、保健師等)とのチームアプローチを重視した集学的治療を行っています。また、クルーゾン病、アペール症候群やトリーチャー・コリンズ症候群などの先天性頭蓋顔面疾患、顎変形症に関しても最新の方法(骨延長法など)を用いています。他にも小耳症において安定した成績を挙げています。

 口蓋裂の手引き 2010年度版を作成しましたので是非ご覧下さい。

口蓋裂の手引き 2010年度版

口唇口蓋裂

1.はじめに

 口唇口蓋裂とは唇顎口蓋裂とも言われ、日本人ではおよそ500人に1人くらいの割合で出現する比較的頻度の高い疾患です。しかし、近年では治療も確立されつつあり、適切な時期に適切な治療を受ければ、機能的障害なく通常の社会生活を送ることが可能です。この疾患の大きな問題は顎発育と言語です。当センターでは、独自のシステムにより顎発育と言語ともに良好な結果を得ています。近頃では、胎児診断される方も多くなっており、ご両親への早い情報提供が急務となっています。治療システムも日々進歩しており、例えば、新生児期での哺乳、生後1ヶ月前後の術前顎矯正、口唇形成術と一緒に行う歯肉骨膜形成術、就学前の早期顎裂部骨移植術などが挙げられます。当センターの「口唇口蓋裂治療」のシステムと最新の知見を含んだ概略をご紹介します。

口唇口蓋裂患者数

2.口唇口蓋裂の症状と一般的な治療法

 口唇口蓋裂の形態異常は大きく分けて下記の3つの症状に分かれます。
 (1)口唇裂 (2)口蓋裂 (3)顎裂
 これらの治療時期は、各施設により異なり、手術回数も様々です。当院での治療を一般的な治療と比較しながらご紹介します。

 (1)口唇裂の治療:口唇形成術

 多くの施設では、生後3ヶ月頃に行われることが多いようです。ただし、全身の状態が不安定なお子様や合併疾患を持ったお子様は、それに基づくリスクが軽減されるまで手術時期を待つことになります。

 当科では、口唇口蓋裂専門の矯正歯科医により、生後から術前顎矯正プレートを用いて手術前に良好な歯ぐきの形態に矯正することができます。これにより口唇形成術と歯槽骨膜形成術(*)及び口蓋形成術の同時手術が可能となります。したがって、当科では口唇形成術の手術時期は術前顎矯正に依存することになります。術前顎矯正は、顎裂が狭くなるまでに多少の時間がかかり、約2週間に1回の通院を要します。

 われわれは、手術で良い結果を得るためには、手術時期ではなく、術前に手術がやりやすい環境を整えることが最も重要であると考えています。

 *:歯槽骨膜形成術

 顎裂部の骨膜をくっつける手術。乳幼時期は骨形成能力が旺盛で顎裂に骨ができます。骨が十分二形成されれば,顎裂部骨移植手術を行う必要がありません。初回の口唇形成術の時に同時に行います。

 (2)口蓋裂の治療:口蓋形成術

 機能的に最も重要な治療です。言語、顎発育(上顎の成長)、滲出性中耳炎に影響します。口蓋裂手術は各施設で様々です。一般的にPush back法は顎発育に悪影響を及ぼし、二段階法(一回目に軟口蓋だけを閉じ、二回目に硬口蓋を閉鎖する方法)は言語に問題を残すことが多い傾向にあります。手術時期としては1歳から1歳半頃が多いようです。全身状態や合併症があれば時期は遅れることになります。

 当科では、全ての症例でFurlow法を行っています。この方法は、言語と顎発育に対して良好な結果を得ることができます。

 言語:
 通常、発声時には、軟口蓋が口蓋帆挙筋により挙上し、咽頭後壁につくことで鼻腔を遮断し口から声を出します。口蓋裂では、発声時に軟口蓋が咽頭後壁につくことができず、鼻から空気漏れが起こるために、発音しにくい言葉が出て来ます。「か行」や「ぱ行」などの口の中で空気をはじくような発音が空気漏れしてしまうために出来ないのです。例えば「ママ」は言えますが「パパ」や「ブーブ」などは「アア」や「ウーウ」となって上手く言えません。放置すれば発達の過程で無理にのどの奥で絞り出すような不自然な摩擦音で発音を代用しようとする癖(口蓋裂言語)が身についてしまい、その後の言語訓練が必要になります。
 したがって、手術では、1.軟口蓋を咽頭後壁につくために十分長く作る 2.機能的に口蓋帆挙筋を再建することが重要です。われわれが口蓋裂手術として行っているFurlow法は、上記を満たす数少ない方法です。

 顎発育(上顎の成長):
 顎発育障害は、口蓋裂手術の方法が主な原因であると考えています。手術で口腔内の天井(上あご)に骨や粘膜下組織が露出していることがあります。このような範囲が広ければ広いほど顎発育は抑制されます。

 滲出性中耳炎:
 通常は、耳管(鼻腔と中耳を連絡している管)に付着している口蓋帆張筋が収縮し耳管を開口させることによって、鼻腔内からの滲出物を排出しています。口蓋裂の場合、口蓋帆張筋の腱膜が左右に分断されていて、耳管の開口ができないため、滲出物は鼻腔から中耳へと進んでいきます。その滲出物が貯まった状態が滲出性中耳炎です。放置すれば難聴の原因となりますので、耳の中が見やすくなる生後半年位までには耳鼻科にかかって診察・必要に応じて鼓膜切開や鼓膜にチューブを入れる手術を行います。

 (3)顎裂の治療:顎裂部骨移植術

 歯ぐきは将来きれいに永久歯が並ぶための土台として重要な場所です。治療は、この歯ぐきの割れ目(顎裂部)に自分の骨(腸骨の海綿骨)を移植します(顎裂部骨移植術)。治療時期は10歳ぐらいで、顎裂部の永久歯が萌出する前に行うという考えが一般的です。現在では歯科矯正治療も保険適応され、顎裂部骨移植術と歯科矯正治療の組み合わせは、口唇口蓋裂治療の重要な位置を占めています。いつまでも健康でいるためには、歯は重要な要素のひとつであることは言うまでもありません。

 当科では、初回の手術の際に歯槽骨膜形成術を同時に行い、顎裂部に骨が形成されるために顎裂部骨移植術を行うことが少なくなっています。顎裂部に骨芽十分に形成されない場合には6歳(就学前頃)に顎裂部骨移植術を行います。

術前顎矯正法


片側唇顎裂



口蓋裂





片側唇顎口蓋裂











両側唇顎裂

 両側唇顎裂は口蓋裂を有さないにもかかわらず治療が難しい裂型です。特に中間顎が突出した症例は、良好な口唇・鼻形態を得ることが困難です。術前顎矯正により突出した中間顎を整位した後に、口唇形成術を行うことが推奨されます。術前顎矯正法は、鼻翼軟骨の整位や鼻柱を伸ばす効果があり、今後の展開が期待されます。

 生後3ヶ月以降では治療効果が少ないために、早めの受診をお願いします。




両側唇顎口蓋裂






症候性頭蓋縫合早期癒合症

 ★ クルーゾン病やアぺール症候群などにおける先天性頭蓋顎顔面疾患の顔面骨切り術には骨延長法による術式を行っています。手術侵襲は最小限であり、出血量も少なく、ほとんどの場合、集中治療室滞在期間は1日です。他にも鰓弓症候群・小顎症・顎変形症に対しても骨延長を含めた治療を提供しています

 ★ 当科では、当センターの特徴の一つである合併症を合わせ持つ患児に対しても他科と密接に連携した集学的治療を行っています




小耳症

 耳の形は複雑な発生過程をたどり、いろいろな耳らしい隆起が生まれます。小耳症は耳の先天異常のうち変形が一番強いもので、耳の形が完全にできあがらなかったため、耳が小さいものを呼びます。変形の程度も,痕跡的な耳たぶしか残っていない程度から、耳介の陥凹部は残っていて耳の上部だけが縮まったようになっている程度のものまでさまざまです。同時に、耳の穴(外耳道)が狭くなったり、閉鎖したりしている場合や、頬や下顎の発育不良、顔面神経麻痺などが合併する場合(第1、第2鰓弓症候群と呼びます)もあります。機能的問題として、眼鏡やマスクをかけることができないということが挙げられます。

 治療法

  • 手術至適年齢は10歳~15歳頃です。本人の肋軟骨(胸の肋軟骨)を使います。耳型作りには比較的多量の軟骨が必要です。
  • 手術は2回(耳介再建術と耳介挙上術)に分けて行います。1回目は肋軟骨で作製した耳型(フレームワーク)を埋め込み耳の形を作る手術です。
    2回目は作製した耳を立てる手術です。
  • この手術は形成外科の中でも、難しい手術のひとつです。




(平成25年12月 更新)

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