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疾患disease

鼠径ヘルニア、陰のう水腫

概要

鼠径ヘルニアとは?

いわゆる「脱腸」のこと。小さなお子さんで、鼠径部(股の少し上)が膨らみます。小児の鼠径ヘルニアはしばしばみられる疾患で、小児の4~6%に発生するといわれています。原因は先天的なもので、おなかの壁を裏打ちしている腹膜の突起(腹膜鞘状突起)が出生後も開いたままになっているために、小腸などが脱出し、膨らんでくるのです。膨らみは腹圧が上昇した際(泣いている時や排便時など)に見られ、通常は膨らんでも自然に元に戻ることの繰り返しです。しかし、時々その膨らみが消えず、入り込んだ小腸などが出口で締め付けられて痛くなることがあります。これをヘルニア嵌頓(かんとん)といいます。鼠径ヘルニアは嵌頓の危険性があり、自然治癒の可能性が少ないので、当院では生後6ヶ月を過ぎれば手術を行っています。

陰のう水腫とは?

原因は鼠径ヘルニアと同じですが、鼠径部、陰嚢部の腹膜内に水が貯留します。特に自覚症状はなく、水腫によって精巣を圧迫することもありません。水腫は自然吸収することが多いので、基本的には外来で様子を見ます。自然治癒しない場合は手術が必要となります。手術に関してはヘルニアと同じように扱っています。

治療法

手術法について

当科で行っている手術法は2種類あります。Potts(ポッツ)法とLPEC(エルペック)法です。

Potts法 : 昔から行われている方法で、手術は比較的簡単です。鼠径部を約1~2cm切開し、ヘルニアが脱出している袋状のヘルニア嚢(のう)を根元でしばり、腸などの臓器が脱出しないようにします。手術時間は女の子なら10分~20分、男の子でも15分~30分です。キズあとについても、皮膚を切るところは下腹部の皮膚のしわに沿っており、糸が外に出ないように縫いますし、キズの大きさが1~2cmと小さいですので、殆ど目立たなくなります。生後6カ月以上で、喘息・けいれんや、大きなご病気をされていないお子さんの鼠径ヘルニア(陰嚢水腫)の手術は日帰りで行うことができます。

LPEC法 : 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(Laparoscopic Percutaneous Extraperitoneal Closure法)のことです。通常法(Potts法)と異なり、3つの小さなキズ(おへそに5mm、左側腹部に3mm、鼠径部に1mm)を用いて、腹腔鏡(おなかの中をのぞく内視鏡)でおなかの中から観察しながら手術を行います。ヘルニアが脱出している袋状のヘルニア嚢を、おなかの中から糸で閉じて、臓器が脱出しないようにします。手術時間は女の子なら20分(片側)~40分(両側)、男の子でも30分(片側)~60分(両側)です。キズあとは、おへその部分はしわの中であり、鼠径部も1mmのため、ほとんどわからなくなります。左側腹部3mmと小さいため、殆ど目立たなくなります。

手術した反対側の発症 : Potts法では、症状のある側のみ手術を行い、後日反対側に発症した場合は、その時点で再度手術をします。反対側に出る確率は20人に1人です。残念ながら、手術前には分かりません。

一方、LPEC法では、左右両側のヘルニアについて確認できますので、症状がない場合でも、一回の手術で、鼠径部に1mmの創を追加するだけで反対側の手術が可能です。これはLPEC法の大きなメリットです。

当院でのPotts法とLPEC法の違い

どちらも一長一短あります(表)。もともと日帰り手術の適応とならないお子さんや、おへそのヘルニアがあるお子さん、両側鼠径ヘルニアのお子さんにはLPEC法をお奨めしていますが、基本的には患者さん、ご家族のご希望に添って術式を選択しています。

日帰り手術について

当院では1982年から日帰りでのヘルニア手術を開始し、現在では鼠径ヘルニア手術は日帰り手術が全体の半分を占めています。日帰り手術の場合、前週の水曜日の午後に術前検査(全身麻酔検査として胸部レントゲン検査、心電図、血液検査、尿検査)、手術・麻酔の詳しい説明を受けていただきます(書類参照)。手術当日は朝8時20分に入院病棟に来棟していただき、入院後手術の順番を待っていただきます。手術後は病棟に戻り、落ち着いたところで退院となります。 帰宅後はお風呂以外は特に生活の制限はありません。 *当院での現状と実績 当院での手術数は年間300~400例です。合併症として術後創部出血や創感染などがあげられますが、いずれも当院では1%未満となっており、安全な手術といえます。

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