神経筋疾患
筋肉と末梢神経の病気
からだの力が弱くなったり、歩くことがつらくなったりすることの原因に、筋肉や末梢神経の病気がみつかることがあります。こどもの場合は遺伝的な筋肉の病気のために、運動面の発達が遅れ1歳を過ぎてもおすわりや歩行ができないといった症状を示すことがあり、原因として先天性ミオパチーとよばれる病気などがあります。また、歩けたこどもが4~5歳ころから、少しずつ筋肉の力が弱くなり転びやすくなる場合は筋ジストロフィー症などが考えられます。それぞれ病気の進み具合が異なっており、学校生活や将来の生活の仕方について医師と見通しを相談する必要があります。一方、多発性筋炎やギランバレー症候群といった病気は、適切な治療によって良好な治療結果が期待できるものもあります。
検査は筋電図や筋生検が行われます。筋電図検査は、神経を微量の電気で刺激をして神経を伝わる電気の速さを調べたり、筋肉に針を刺して電気の発生状況を調べるもので、病気かどうかの有力な情報が得られます。痛みを伴う検査ですので、おとなと違い必要最小限の検査にとどめ、検査をする医師はこどもの負担を軽くするように心がけています。筋生検は、手術室で少量の筋肉を切除し、顕微鏡で組織を観察して診断をつけます。小学生低学年までは全身麻酔で、高学年からは局所麻酔で痛くないよう配慮して手術を行います。近年、多くの病気の原因遺伝子が解明されてきており、筋生検を行う前に遺伝子検査を行うことも多くなってきています。
筋肉や末梢神経の病気の多くは、まだ根本的な治療方法が乏しいのが現状ですが、近年色々な進歩がみられています。今後、医学の進歩とともに様々な治療方法の可能性が考えられます。