性分化疾患
性器のかたちが女の子としてどうかしら?男の子にしてはちょっとどうかな?性染色体(XやY染色体)に異常があるといわれた、などというお子さんに見られることがあります。
生まれてすぐに新生児科や小児内分泌科の先生から相談されることも少なくありません。
具体的な病名としては先天性副腎過形成症、混合性性腺異形成症、卵精巣性性分化疾患などの相談が多いと言えます。
当科の診療の特徴
先天性副腎過形成症は新生児期からステロイドホルモンの補充が必要なことが多く小児内分泌科から紹介になります。
性器の形態が問題になるのは女の子で、陰核が大きい、おしっこの出口がはっきりしないといった形態異常を認めます。
これに対して混合性性腺異形成症では高度の尿道下裂と片側の停留精巣を認め、卵精巣性性分化疾患のお子さんは卵巣と精巣を持っていて、外性器は男の子に近い場合と女の子に近い場合があります。
当院で生まれた場合を除くと、相談にこられた時に男児か女児かの届け出が終わっているお子さんも多く、ご両親と十分相談し、1歳頃に性器のかたちを形成する手術を検討します。
当科の手術の特徴
先天性副腎過形成症では女児外陰形成術を行います。
陰核の大きなお子さんでは陰核が突出しないように小さく形成します。
またおしっこの出口と腟の入り口が下で一緒になっている場合は二つに分かれるように形成します。
混合性性腺異形成症や卵精巣性性分化疾患で男児として育成する場合は二回に分けて尿道下裂の手術を行います(尿道下裂参照)。
また最初に卵巣の有無、精巣の有無、腟の有無を内視鏡で確認し、それぞれの性に合致しない部分をどう扱うか検討します。
入院期間
女児外陰形成術では外陰部の安静が必要なため術後7日間入院します。
手術成績
女児外陰形成術は比較的まれな手術であり、当科では最近10年間に22名で行っております。
手術後早期に困ったことが起きたことはありません。
しかし外陰形成術の成否の判断は本人が成人してからでないとわからないことがあります。
当科では術後1年目と10年以上経過した高校生頃に全身麻酔下で形成部分に狭窄などの問題がないか確認しています。