二分脊椎
脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう)、脊髄脂肪腫(せきずいしぼうしゅ)と言われる脊髄神経の先天的な病気です。
脊髄髄膜瘤は胎児期もしくは生まれた時に背中のこぶですぐにわかります(図)。
脊髄脂肪腫はおしりのくぼみなどで気がつき、MRIといわれる画像検査で脊髄を調べることで診断されます。
当センターは二分脊椎の患者さんが常時300名以上通院されている国内有数の小児病院です。
当科の診療の特徴
泌尿器科は、脳外科をはじめ図の様なさまざまな診療科や部署と協力しながら、腎機能を守り、よりよい排尿・排便管理ができるようにご家族と一緒に取り組んでおります。そのため乳児期早期から定期的な膀胱や腎臓の検査を行っております。くだでおしっこを出す「導尿」が必要になった場合は早期からご家族に説明をおこない、小学校に上がる頃には自分で出来るようにお子さんに外来で指導しております。お薬や導尿、洗腸と言う方法でおしっこやうんちの管理を行っても尿や便のもれが止まらない場合があり、学童以降に10%ぐらいのお子さんでは以下のような手術も行っております。
当科の手術の特徴
ご家族や本人と時間をかけて話し合い、「もれ」や腎臓をよくするための手術の希望があり、手術以外には改善しにくいと判断した場合には以下の手術に取り組んできました。これらの手術は単独でも行いますが、おしっことうんちの両方の問題があるときは複数の手術を組み合わせて行います。
膀胱拡大術
膀胱が小さくておしっこがためられないお子さんには腸を利用して膀胱を大きくする手術をおこないます(図)。
膀胱出口形成手術
出口が弱くて尿がもれやすいお子さんには出口を細く締める手術をおこないます。
洗腸路作成手術
おしりから水を入れるのではなく、腸の途中から水を入れてうんちを洗い流し、もれをへらす順行性洗腸という方法を当科では積極的に採用しています。親の助けなしで自分自身でできるのが大きなメリットです。そのためのくだの入り口をおへそなどに作製する手術を行います(写真)。腹腔鏡というカメラを使って作製する場合もあります。
手術の入院期間
腸を使った膀胱拡大術や膀胱出口形成手術を行った場合は約10日の入院が必要となります。術後3週間たってから導尿を再開しますので学校は3週間以上お休みする必要があります。
手術成績
当科では最近10年間に30名以上の方にこのような手術を行ってきました。尿の漏れや便の漏れが完全に止まった方から、改善した方までさまざまですが、アンケートではほとんどすべての方が手術をしてよかったと応えております。(図)
オムツが取れて荷物が減った、外出外泊など積極的に社会に出て行くことが出来るようになったと言った意見も聞かれました。脊髄髄膜瘤の患者さんではシャントとよばれる脳とおなかの中をつなぐチューブが入っていることも多いのですが、当科ではシャントがあっても安全に手術が行なえてきています。