軟骨無形成症
概要
軟骨無形成症は骨の成長にかかわる軟骨の異常により低身長や四肢、指が短いことを特徴とする先天性の病気です。四肢短縮の他にも相対的に頭蓋が大きかったり、前額部の突出といった特徴的な顔貌を呈することもあります。およそ2万人に1人の出生と言われ、FGFR3という遺伝子の異常が認められます。ご両親から遺伝する場合もありますが、FGFR3の突然変異により健常なご両親から生まれることもあります。四肢短縮型の低身長をとりますが、脳の発達は正常であり、通常の場合は知能障害等はきたしません。
頭蓋骨の成長障害により大孔と言われる頭蓋骨の底の部分が狭窄していることが多いです。これによりその部分を通過している脳幹といわれる部分が頭蓋骨により圧迫され四肢麻痺や緊張の亢進、中枢性無呼吸といった神経症状が引き起こされます。脳幹への圧迫が高度になるとこれらの神経症状が永続的に残ってしまう可能性があります。また髄液の流れが妨げられ水頭症という状態になると頭痛や嘔気といった症状が引き起こされます。脳神経外科ではこのような大孔部の狭窄や水頭症をきたすような場合に治療を行います。
治療法
手術では後頭部から頸部にかけて皮膚切開を行い、後頭骨を削って狭くなっている大孔を広げます。また、環椎といわれる頸椎の1番目の骨を部分的に削ることで脳幹への圧迫を和らげます。軟骨無形成症そのものに対する治療はまだ解明されていませんが、生活の質を落とすような神経症状を呈するものに対して手術治療を行っています。
治療前MRI画像
矢印に示す後頭骨によって脳幹、脊髄が押されて圧迫されています。
治療後MRI画像
後頭骨は削除され脳幹、脊髄への圧迫はとれています。脳幹に白い部分が出現しており、圧迫による所見が残っています。