細菌検査室
細菌検査室では、患者様から採取した検体(喀痰・膿・尿・便・血液など)から、感染症の原因となる細菌を特定し、どのような抗菌薬が有効か調べています。細菌検査は他の検査と比べて結果報告まで時間を要し、最短でも検体提出2日後、発育が遅い菌ではさらに時間がかかります。そのため患者様の状態・症状を踏まえ、適切な検査を実施できるよう日々技術向上に励んでおります。
主な業務内容
- 細菌検査(塗抹検査・培養・同定検査・薬剤感受性検査)
- 感染症抗原・抗体検査
- 感染症対策
細菌検査(塗抹検査・培養・同定検査・薬剤感受性検査)
塗抹(顕微鏡)検査
検体をスライドガラスに塗り、染色して顕微鏡で菌の有無や量を観察します。これらの状況から、感染を疑われる部位の状況をある程度判断できます。しかし、塗抹検査はあくまでも推定で、詳しい検査結果は培養検査をしなければ分かりません。
培養検査
患者様の症状や採取された検体材料から培地を組み合わせ、数日かけて菌を培養します。発育した菌の集落(コロニー)の大きさや形、色などを観察し、菌の名前を推定します。
同定検査
培養した菌の集落が、症状の原因となる細菌か判断し、菌名を判定する「同定検査」を行います。質量分析装置を使用するため、迅速に結果を報告することができます。また必要に応じて従来法である試験管培地などを使用し、生化学的性状を調べます。
薬剤感受性検査
菌名を判定後、どのような薬剤(抗菌薬)が有効なのかを調べる「薬剤感受性検査」を行います。自動分析装置やドライプレートを使用し、微量液体希釈法で測定します。耐性菌に関しては、テストストリップによるスクリーニングを同時実施し、耐性菌の検出に努めています。
感染症抗原・抗体
迅速検査は検査時間が5〜30分程度で結果を報告できるため、早期に感染症を推定することができます。インフルエンザや小さなお子様で重症化しやすいRS・ヒトメタニューモ・ロタなどのウイルス性疾患や、A群β溶血連鎖球菌(溶連菌)などは24時間対応しています。
感染症対策
抗菌薬が効かなくなる薬剤耐性菌の増加が世界規模で問題となっており、薬剤耐性(AMR)対策が策定されています。院内においても薬剤耐性菌の問題は重要課題であり、感染制御室(ICT)と連携し、感染情報の迅速な報告、耐性菌の監視や調査などの活動を行っています。