所長あいさつ

令和4年4月から臨床研究所長に着任した黒澤健司です。こども医療センターに臨床研究所が開設されて12年が経過しました。この12年間は、研究所の立ち上げと形つくりを主な目的としてきました。次の新たな目標へ向かって整備を進める段階に来ています。
世界的にみても、主要な小児病院のほとんどが研究所を併設し、優れた研究実績を残しています。その理由は明らかで、小児病院に通う子供たちの多くが難病とも言われる希少疾患を有し、その治療と原因の解明を目標に掲げているからです。難病は、発症メカニズムも未解明であり、それを解き明かすことこそまさに研究で、治療への長い道のりの第一歩です。
これまでこども医療センターは、世界に向かって多くの研究成果・発見を発信してきました。その業績を残した先人たちの、難病を持つこどもたちに対する思いと疾患解明への情熱は今も変わらず研究所に受け継がれています。研究所が設立され、競争的研究費の獲得数などからみてもこども医療センターは確実に実力をつけてきています。
設立から数えて次の10年に入り、小児医療研究のなかでの目標とすべきものも見えてきました。一つは今以上に領域の垣根を取り外して総合力で立ち向かう研究の活性化、二つ目は基礎研究を専門とする施設との積極的な共同研究の推進、三つめは医療レベルの底上げを図るために研究を通して若手医療人の育成を進めることです。最先端の技術や知見を応用してゆくことは勿論ですが、さらに、こども医療センターには半世紀50年の医療経験の蓄積があります。これを是非とも生かせる研究を発展させたいと考えています。
前のめりにならず、しかし、情熱を持って取り組む臨床研究所に是非ともご理解とご支援をお願い申し上げます。