所長あいさつ
->医療機関においては医療や福祉の提供が、主要な、期待される役割であることは言うまでもありません。しかしそれだけではなく、それぞれの医療者が経験の中で培った知識や技術を他の医療者に継承すること、治験・臨床試験を含む臨床研究や基礎の研究により新たな知識や技術を創造すること、あるいは研究に協力することも、医療機関に求められる大事な役割です。こども医療センターは県内唯一の小児専門医療機関として1970年に開設されました。その専門性の高さも関わって、発足当初より様々な研究活動が行われてきましたが、各個人やグループが行ってきた研究活動の場を明確にし、個別の研究活動を発展的に統合するため、2011年に臨床研究所がセンター内に設立されました。臨床研究所は臨床研究室、治験管理室、図書室から構成され、臨床研究室は研究テーマや役割別に9つの部門からなります。このような研究に対する施設としての取り組みが評価され、こども医療センターは2013年に文部科学省科学研究費認定研究機関に指定されました。
現在の医療技術は先達の医療者、研究者たちから連綿と伝えられ体系化されてきた知識や経験のうえに成り立っています。しかしながら未だ克服されない疾患や、医療、福祉において解決すべき課題が数多く残っています。特にこどもの疾患は患者さんの数という点では、すべてが希少疾患であり、課題の解決に必要な、個々の疾患に関する情報を集積することは全ての医療機関にできることではありません。難病をはじめ、こころや体に問題を抱えた地域のこどもたちが集まるこども医療センターは、こどもの福祉や健康を推進するための研究活動を行う責務があります。臨床研究所のスタッフは、こども医療センターにおける研究活動を益々発展させるために努力してまいります。
2024年4月 臨床研究所長・医務監 後藤裕明