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医療安全の取り組み

医療安全の取り組み

 令和3年10月に発生した医療事故について

概要

 

 術後 1 日、経管栄養と内服の注入を開始し、術後 2 日から 39℃に発熱。術後 3 日、午前中の胸部 X 線検査結果で肺炎や無気肺の所見はなかったが、夕方から 41℃以上の発熱と嘔吐、下痢を認めた。術後熱と判断し経過観察したが、その後も症状が持続した。術後 5 日、動脈血酸素飽和度(SpO2)と心拍、血圧が低下したため、心肺蘇生を施行したが同日死亡したものです。

術後 1 日、経管栄養と内服の注入を開始し、術後 2 日から 39℃に発熱。術後 3 日、午前中の胸部 X 線検査結果で肺炎や無気肺の所見はなかったが、夕方から 41℃以上の発熱と嘔吐、下痢を認めた。術後熱と判断し経過観察したが、その後も症状が持続した。術後 5 日、動脈血酸素飽和度(SpO2)と心拍、血圧が低下したため、心肺蘇生を施行したが同日死亡したものです。



▶①令和3年10月11日に発生した医療事故の院内事故調査報告書の公表について

➁令和3年10月11日発生した医療事故の医療事故調査・支援センター調査報告書の公表について



原因

 

 死因は、循環血液量減少性ショックをベースとした敗血症性ショックの可能性が高いと考えられていますが、はっきりと特定はできませんでした。手術そのものについては問題が指摘されていませんが、次のような問題があったと、事故の調査を行った委員会から指摘されています。

  • ・HCUから一般病棟に転棟する際、発熱があったにもかかわらず、血液検査など必要な検査が実施されなかった。
  • ・術後3日以降、高熱、嘔吐、下痢、ふるえなどの症状が続く一方、排便や尿量などに対して、輸液や栄養剤の注入などの量が少なかったことから患者は脱水の状態になっていた。それにもかかわらず、診療科の医師同士でこのことについて情報共有がされず、必要な検査や治療が実施されなかった。
  • ・医師が回診した時点で、発熱、下痢、嘔吐などの症状が続いていたにもかかわらず、家族の面会時に病状説明が行われていなかった。また、 付き添いの家族から何度も「大丈夫か」などと看護師に対して訴えがあったにもかかわらず、そのことが医師と共有されていなかった。
  • ・手術後に異常症状を認めた場合の看護師から医師への報告基準が明確に設定されていなかった。



再発防止策と病院の対応

事故を検証した委員会から示された再発防止策



1~5 院内事故調査報告書からの提言

 1.RRS(発熱やバイタルサインの異常ラインの基準を定め、基準を逸脱した場合などは直ちに全身管理に習熟した医師に報告するシステム)を拡充すること。

【病院の対応状況】

MET(患者の状態が悪化傾向にあり、発熱、脈拍、血圧などが一定の基準値に該当した場合、対応するチームを呼び出す仕組み)が令和4年度に導入され、令和5年度から24時間体制で運用しています。その他、状態の悪化傾向にある患者がいないか、救急・集中治療科の医師やPICU・HCU病棟の看護師が一般病棟を回診する、プロアクティブラウンドも実施しています。



 2.病院全体の術後患者の相談を受けられる体制を整備するため、救急・集中治療科や総合診療科の医師を増員すること。

【病院の対応状況】

事故発生時の令和3年度は救急・集中治療科5人、総合診療科3人の体制でしたが、令和7年度は救急・集中治療科7人、総合診療科5人の体制となっています。



 3.術後に医師をコール基準について、バイタルサイン等の項目を院内で標準化すること。

【病院の対応状況】

術後の急変時などに看護師などが迷わず対応できるようにするため、年齢別にMETコール基準(専門のチームを招集するかどうかの判断するための発熱、脈拍、血圧などの基準値)を定め、病棟各部署に掲示するとともに、各職員が携帯するポケットマニュアルに記載しました。



 4.事故の契機となった手術の術後管理標準手順書を作成して、病院管理者が審議すること。

【病院の対応状況】

当該手術の術前術後管理手順書を作成し、病院管理者による審議も行いました。



 5.今回の事故が発生した診療科について、全医師が参加した術後回診及び術後カンファレンスを実施す ること。また、術後患者の管理方針を診療科内で共有すること。

【病院の対応状況】

当該診療科医師全員が参加する術後回診や術後カンファレンスを定期的に行っています。管理方針に関しても診療科内での共有に努めています。



6~19 センター調査報告書からの提言

 6.上級医が患者の状態などの情報を把握して、診療科内の医師と共に治療方針について検討できるよう、診療科内の情報共有の方法を見直すこと。

【病院の対応状況】

当該診療科内における定期的な回診やカンファレンスにおいて、上級医を中心として患者さんの病状に関する情報共有に努めています。



 7.手術を行う診療科と総合診療科(併存症に関係する科)や救急科(集中治療に長けた科)がチームを組んで術後管理ができるよう、土日祝日も含めた術後患者の連携体制について見直すこと。

【病院の対応状況】

術後管理に関しては、PICUやHCU病棟における周術期管理については救急・集中治療科が、一般病床に転棟してからは総合診療科が、土日祝日を含め当該診療科と連携して治療にあたっています。



 8.長時間の手術後や術後合併症が予測される場合には、治療方針、観察ポイント、医師への報告基準など術後の管理体制について検討し、医師・看護師間で共有すること。

【病院の対応状況】

長時間手術後や術後合併症が予測される場合、救急・集中治療科医師又は総合診療科医師が術後管理体制に関する指示を出し、関係する医師・看護師間で情報共有するよう努めています。



 9.長時間の手術や輸血を要する手術については、術後の検査や約束指示について具体的な取り決めを作成すること。

【病院の対応状況】

長時間手術や輸血を要する手術の術後管理についての検査や指示に関しては、救急・集中治療科医師が主体となり管理を行っています。



 10.術後早期に何らかの理由で動脈ラインを抜去した場合には、可能な範囲で再挿入すること。

【病院の対応状況】

術後早期の動脈ラインの必要性については救急・集中治療科が判断し、必要な場合は迅速に再挿入しています。



 11.急変時に「心肺蘇生フローチャート」に則った対応が行えるよう、院内においてシミュレーショントレーニングを繰り返し実施すること。

【病院の対応状況】

院内急変対策会議が中心となり、院内各職種に対するBLS講習(心停止や呼吸停止があった場合の一時対応についてのトレーニング)を定期的に開催し、各職種が参加しています。



 12.小児のショックの病態について再認識し、適切な判断ができるようになるための教育体制を構築すること。

【病院の対応状況】

院内急変対策会議が中心となり、ショックの病態理解と対応に関する講義を行っています。



 13.急変時に、速やかに院内緊急コールが行われ、スタッフが招集できるよう、緊急応援要請体制を見直すこと。

【病院の対応状況】

METコールやドクターコール(即時に救命措置が必要な場合に医師を呼びだすこと)により、24時間365日緊急応援要請ができる体制を整備しました。



 14.異常事態を早期発見できるような院内のプロトコール(手順)を構築すること。

【病院の対応状況】

年齢別のMET基準を設けて、その基準に該当すれば、異常事態として、対応するチームをコールできるようにしています。また、「看護師や医師が不安を感じる」場合でも、同じく対応するチームを呼び出せるようにしています。



 15.HCUから一般病棟に転棟する際には、患者の状態やそれに対する治療などの情報を共有した上で必要な検査を行い、転棟が可能な状態かを判断すること。

【病院の対応状況】

HCUから一般病棟への転棟する際は、救急・集中治療科が転棟可能であるかどうかを判断しています。また、転棟後も救急・集中治療科等の医師が一般病棟を巡回し(プロアクティブラウンド)、病棟スタッフと連携して対応しています。



 16.HCUから一般病棟に転棟する際には、「患者にどのような変化があった場合にHCUに再入室するか」に関して、医師・看護師を含めた診療チーム全体で共有すること。

【病院の対応状況】

HCUへの再入室の判断はMET基準をもとに行うようにしました。患者の状況を専用フォームに記載して、診療チームで情報共有しています。



 17.インフォームド・コンセントの際に用いられる定型の説明・同意書には、手術以外の治療選択を記載した上で説明すること。

【病院の対応状況】

手術におけるインフォームド・コンセントについては、「説明と同意」の定型フォーマットを用いてそれに従って説明を行うようにしています。この「説明と同意」定型フォーマットには、手術以外の治療選択についても患者・家族に提示するよう定められています。



 18.インフォームド・コンセントの際、家族の相談内容や理解度について診療記録に記載すること。

【病院の対応状況】

インフォームド・コンセントを行った医師だけでなく、同席した他職種の医療者もご家族の受け止めについてカルテに記載します。また、インフォームド・コンセント委員会を立ち上げ、カルテに必要な記載が行われているか、チェックしています。



 19.術後に想定外の症状が持続し、家族から不安の訴えがある場合には、医師と看護師が患者の病状や家族の訴えを共有し、速やかに病状説明が行えるような体制の構築を行うこと。

【病院の対応状況】

術後にご家族からの不安の訴えのあった場合、看護師がためらうことなく医師にその訴えを伝えることができるように、職員全員がチームステップス研修(チームワークとコミュニケーションの推進を図る研修)を受講しています。意識改革を行い、速やかに看護師が担当医又は当直医との情報共有を積極的に行っています。



神奈川県立病院機構医療安全推進体制に係る外部調査委員会

 令和3年10月の医療事故への対応を契機に、令和5月9月、外部の有識者6名で構成される「医療安全推進体制に係る外部調査委員会」が県立病院機構に設置され、日々の患者安全活動などについて、検証を行いました。令和6年2月に作成された報告書では、事故を検証した委員会から指摘された問題点に加えて、主に次のような点を指摘されています。

  • ・事故発生以前において、患者の安全確保を最優先事項とするための明確な病院理念を組織の隅々まで貫通させ、専門性の異な
  •   る多様な部門や診療・ケアを「患者安全」という概念で規律付け、統率するための強固な覚悟とリーダーシップ・統治システム(ク
  •   リニカルガバナンス)が存在していなかった。
  • ・院内のセクション数が多く、それぞれの部局の独立性・専門性が高いことから、部署を横断した積極的な関わり合いがはばまれ
  •   ていた。
  • ・(小児外科以外の外科系の医師など)小児診療に不慣れな若手医師への教育やサポート体制が不十分であった。
  • ・患者の入院病棟が、病態別(診療科別)ではなく年齢別に決定されていたため、様々な病態の患者が病棟にいるため、業務が細
  •   分化され、職員間に患者安全上の懸念が存在していた。
  • ・病院全体として重大医療事故調査の経験が乏しく、事故が起こった際の業務管理や遺族との情報共有のあり方等に問題を抱え
  •   ていた。

医療安全推進体制に係る外部調査委員会からは、こども医療センター向け(19提言)及び神奈川県立病院機構全体向け(23提言)に42の改善に向けた提言がありました。

 神奈川県立病院機構では、これら42の提言に対して、行動計画「『42の提言』アクションプラン」を作成して、改善に向けた取り組みを進めています。

 医療安全推進体制に係る外部調査委員会による調査結果報告書、外部調査委員会から受けた42の提言に対する行動計画(アクションプラン)、アクションプランに対する取り組み状況などは、こちら(https://kanagawa-pho.jp/safety)から確認できます。



最後に

 本件事故でお亡くなりになられた患者様に対し、お悔やみ申し上げるとともに、ご遺族の方に心よりお詫び申し上げます。

当センターでは、令和5年5月16日にとりまとめられた院内調査結果報告書及び令和7年3月27日にとりまとめられた医療事故調査・支援センター調査報告書に記載された内容を真摯に受け止め、再発防止に向けて職員一体となって取り組んでいきます。また、神奈川県立病院機構医療安全推進体制に係る外部調査委員会による「42の提言」アクションプランに基づき、引き続き医療安全管理体制の強化に努めていきます。

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