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各診療部門の紹介

腫瘍外科

外科の手術イメージ1

小児がん診療での腫瘍外科の役割

腫瘍外科は腫瘍を専門に取り扱う外科で、小児がん治療認定外科医が担当しています。
多くの診療科・部署が関わる小児がんの診療で、腫瘍外科は以下のことに関わります。
① 腫瘍の生検(手術で腫瘍を少し切り取り、病理検査に出す)
② 中心静脈カテーテル挿入(化学療法で使用するための、点滴をするチューブを小さな手術で入れる)
③ 腫瘍の摘出(原発巣、転移巣)

腫瘍外科が担当する小児がん

腫瘍外科は、脳神経外科、泌尿器科、眼科、整形外科が取り扱う腫瘍(脳腫瘍、精巣腫瘍、網膜芽細胞腫、骨肉腫など)以外の腫瘍を取り扱います。
具体的には以下の腫瘍です。
① 神経芽腫
② 腎芽腫(ウイルムス腫瘍)
③ 肝芽腫
④ 胚細胞性腫瘍(卵黄嚢癌、奇形腫など)
⑤ 横紋筋肉腫(整形外科が取り扱うこともあります)
⑥ ユーイング肉腫(整形外科が取り扱うこともあります)
⑦ 胸膜肺芽腫
⑧ 膵芽腫
⑨ 転移性肺腫瘍
⑩ その他
各腫瘍の概略・治療戦略・当院での成績については、「当院の治療方針・成績」ページをご覧ください。
また、上記以外の腫瘍(脳腫瘍、白血病、悪性リンパ腫等)についても、生検やカテーテル挿入は、主に外科が担当しています。

神奈川県立こども医療センター腫瘍外科について
~あきらめない小児がん手術をめざして~

神奈川県立こども医療センターの外科(腫瘍外科を含む)としては、年齢層は赤ちゃんからAYA世代まで、守備範囲は鼠径ヘルニアから生体肝移植まで、幅広い外科の治療を行っています。
腫瘍の手術件数は全国トップレベルと自負しています。
特に、肺転移や播種など(下記参照)については、国内遠方から手術のために来られる患者さんが多いのが特徴です。

神奈川県立こども医療センター腫瘍外科の特色としては、一言で表すと「あきらめない小児がん手術」です。

肺に転移した腫瘍も、患者さんのQOL(生活の質)を落とさない範囲内ならば、積極的に手術をして切除します。
② 成人のがんでは「末期」と宣告されることが多い「腹膜播種」「胸膜播種」についても、播種巣全摘出+術中温熱化学療法という方法を使って根治を目指す治療を行っています。
詳しくは「当院の治療方針・成績」ページをご覧ください。

・神奈川県立こども医療センター 腫瘍外科の小児がん手術数

  悪性腫瘍
原発巣摘出
転移巣摘出 腫瘍摘出合計 カテーテル挿入 生検 腫瘍外科合計
2010 16 16 32 35 22 89
2011 17 17 34 36 25 95
2012 25 22 47 40 17 104
2013 25 15 40 38 19 97
2014 28 43 71 31 21 123
2015 22 32 54 30 7 91
2016 25 44 69 29 9 107
2017 28 37 65 30 22 117
2018 19 36 55 42 21 118
2019 20 27 47 34 20 101

特徴としては、転移・再発症例もあきらめずに積極的に手術を行っている点です。もちろん手術によるお子様のダメージと根治性ををいつも天秤にかけ、手術すべきであるかないかを判断しています。

新しい技術も積極的に導入しています。

・肝芽腫に対するICG蛍光法

肝芽腫にのみ使える方法ですが、手術前にインドシアニングリーンという色素を静脈注射すると、手術の時、特殊な装置で赤外線を臓器に当てると、肝芽腫の病巣が光るという技術です。
特に小さな肺転移巣の発見に威力を発揮します。この方法を、当院が世界で初めて小児がん手術に応用しました。現在では他の施設、外国でも導入され始めています。

外科の手術イメージ2

・腹膜播種、胸膜播種に対する、播種巣全摘+術中温熱化学療法

一般的に末期状態と言われることの多い、各種がんの「腹膜播種」「胸膜播種」に対し、温熱化学療法を行っています。手術で病巣をほとんど摘出し、再発を予防するために41℃に加温した抗がん剤を手術中に腹腔あるいは胸腔に投与します。抗がん剤は温めることで効果が増強し、それを直接腫瘍に効かせることと、温熱そのものが腫瘍にダメージを与える効果を狙っています。
今まで腹腔内で4例、胸腔内で10例の患者さんに対してこの方法を行いました。

腹腔内の4例は、非常に悪性度が高く、予後の不良な腫瘍である線維形成性小円形細胞腫瘍(DSRCT)の患者さんでした。2名がご存命中です。
胸腔内は、骨肉腫、肝がん、ウイルムス腫瘍、卵黄のう腫瘍などの患者さんでした。

外科の手術イメージ3

写真:温熱化学療法。手前にポンプがあり、温度が下がらないように、抗がん剤の入った溶液を体内に還流します。通常、1時間半くらいの潅流時間です。

・院内各科との連携

難しい手術でも、時に心臓血管外科や泌尿器科、整形外科、脳神経外科、形成外科などの力を借りて挑戦することもあります。当院の特徴として、こうした小児の外科系専門家が揃っており、いつでも協力を頼めることです。また小児のあらゆる内科系専門医が揃っており、様々なトラブルにも対処できることが強みです。
例えば、腫瘍が大きな血管にへばりついている場合、心臓血管外科の先生にもいっしょに手術に入ってもらい、時には人工心肺装置を使って腫瘍を安全に取ることができます。
また、大きな腫瘍を取って、胸やお腹に大きなくぼみができるような場合、形成外科の先生にその修正を頼むこともあります。

もう一つの特徴が、病理、放射線科、麻酔科のレベルが高いことです。手術をする場合、術前の画像診断による病巣の正確な把握、正確な病理診断による術後化学療法の選択が非常に重要です。また心疾患など合併症を抱えた患者さんの手術、小さなお子さんの大手術なども、経験豊富な小児麻酔科医の力があって初めて可能になります。
このように非常に恵まれた環境のもと、高難度の手術が可能になっています。

外来診療

火曜・木曜の午前中が一般外来(新患・再来)です。小児がんの患者さんは、小児外科専門医・指導医、小児がん認定外科医の北河が担当しています。
初診の方は全て紹介制となっていますので、現在担当されている先生からの紹介状が必要です。このホームページの相談窓口からご相談されても結構です。
セカンドオピニオンも随時受け付けております。現在担当されている先生から紹介状をいただいてお申込み下さい。

入院

基本的に、外科の手術をする場合は4階病棟(年齢別に3病棟)に入院していていただくことが多いです。手術後は元の病棟か、大きな手術の場合は3階のICUあるいはHCUになることもあります。
遠隔地の方の場合、保護者の方は宿泊施設である「リラのいえ」が利用できます。早めにご予約されることをお勧めします。

手術

手術日は月水金です。通常、前日に入院していただくことが多いですが、遠隔地の方の場合は前々日のこともあります。
通常、手術までは1-2ヶ月の待ち時間をいただくことが多いですが、小児がんの場合は急ぐことも多く、柔軟に対応しています。生検やカテーテル挿入は緊急で行うことも多いです。

スタッフ

腫瘍外科は北河が担当しています。
神奈川県立こども医療センターの外科スタッフは現在8名であり、4名が小児外科専門医、2名が小児がん認定外科医の資格を有しています。

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