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当院の治療方針・成績

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とは

リンパ組織から発生する悪性腫瘍を「悪性リンパ腫」と呼び、小児がんの約10%、小児人口100,000人におよそ1人の頻度で発生しています。リンパ組織とはリンパ節、脾臓、扁桃、骨髄など、病原体の排除などの免疫機能を担当する組織の総称をいいます。リンパ組織は全身に存在するため、悪性リンパ腫は全身のあらゆる部位に生じる可能性があります。小児リンパ腫の発症原因はまだはっきりとはわかっていませんが、一部でウイルス感染が関与していることも知られています。

悪性リンパ腫の病型

病型の分類は最適な治療を選択するために必要なものです。病理組織像から悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類されます。小児の非ホジキンリンパ腫はまれなものを除き、 (1) バーキットリンパ腫、(2) びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫、(3) リンパ芽球性リンパ腫、(4) 未分化大細胞型リンパ腫の4つに分類されます。(1) と (2) をあわせて成熟B細胞型リンパ腫と呼びます。

検査と診断

腫瘍を手術などにより一部切除 (生検)、あるいは全部を採取して、腫瘍細胞の性質を詳しく評価して病型 (病理診断) を確定します。病変の分布 (病期診断) を判定するためには全身の評価が必要であり、診察所見のほか、CT、MRI、シンチグラフィー、PET、骨髄穿刺、腰椎穿刺 (脳脊髄液検査) などを行います。小児のホジキンリンパ腫はAnn Arbor分類、非ホジキンリンパ腫はMurphy分類による病期評価を行います。病期は、がんの進行具合を示す言葉であり、病期I-IVに分けられます。

症状について

悪性リンパ腫は全身のあらゆる部位に生じる可能性があり、病型などによりリンパ腫細胞の増殖速度が異なることから症状はさまざまです。痛みを伴わないリンパ節の腫れ、原因が明らかでない発熱、寝汗や体重減少などは悪性リンパ腫を疑う症状の1つです。バーキットリンパ腫は腹部腫瘤で発症することが多く、年長児の腸重積でみつかることもあります。また、悪性リンパ腫が形成した腫瘤が、気管、神経、血管などを圧迫し、緊急対応を要することもあります。

治療について

小児悪性リンパ腫の大部分の病型で70-90%の長期生存率が期待されています。そのため、正確な診断を行うことが重要であり、診断まで時間を要することもあります。治療は病型、病期により異なります。非ホジキンリンパ腫では複数の抗がん剤による多剤併用化学療法による治療成績が良好であり、化学療法が主体で行われます。成熟B細胞型リンパ腫に対するリツキシマブ (CD20抗体薬)、リンパ芽球性リンパ腫の治療薬であるネララビンなど、新規治療の開発も進められています。ホジキンリンパ腫では化学療法と放射線療法を併用することが標準的ですが、病期によっては放射線照射を省略する試みもなされています。

非ホジキンリンパ腫の治療

・小児成熟B細胞型リンパ腫 (バーキットリンパ腫とびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫) では、病期、腫瘍切除の有無やLDH値、浸潤部位で層別化された、短期集中型治療が行われます (2~8回程度繰り返す化学療法)。治療開始当初に急激なリンパ腫細胞の崩壊 (腫瘍崩壊症候群) が問題となりますので、十分な準備のもとで治療を開始しなければなりません。
・小児リンパ芽急性リンパ腫では急性リンパ性白血病 (ALL) 型の治療 (寛解+強化+維持療法) を行われます。
・小児の未分化大細胞型リンパ腫では臓器浸潤 (縦隔、肺、肝臓、脾臓、皮膚) の有無による層別化された短期集中型治療が行なわれます。

ホジキンリンパ腫の治療

・小児ホジキンリンパ腫では病期などから低リスク、中等度、高リスク群などに層別化されて治療が行われます。多剤併用化学療法と初発時に腫瘍が残存したリンパ節領域を照射野とする低線量放射線照射の併用が標準的に行われます。

上記で示したように、各疾患のリスクに合わせた層別化治療が選択されます。
当センターは日本小児白血病リンパ腫研究グループ (Japan Pediatric Leukemia/Lymphoma Study Group: JPLSG) に属しており、JPLSG からの小児悪性リンパ腫に対する臨床試験にも参加しております。

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