当院では、2012年7月より、ファシリティドッグが常勤勤務しています。
アニーは2018年10月に、先代のファシリティドッグ 「ベイリー」から業務を引き継ぎ、当院で活動を行っています。
ファシリティとは、「施設」という意味であり、1つの施設に職員の一員として勤務する犬のことを、ファシリティドッグと言います。欧米では数多くのファシリティドッグが活躍していますが、日本ではまだ4か所の病院にしかいません。
遺伝的な素質を重視して選ばれ、人間のことが大好きになるよう、愛情をたっぷり注ぎながら、幼少期よりファシリティドッグとしての専門的なトレーニングを受けて育ちます。
そして犬とともに活動するハンドラーは、臨床経験のある看護師です。
単なる触れ合い活動にとどまらず、採血や点滴、検査や処置の付き添い、手術室までの付き添い、リハビリの応援など、治療のお手伝いもしています。
子どもたちが、つらい治療を「自分から頑張ろう」という力を少しでも引き出せるよう、お手伝いをしています。
※ アニーの訪問をご希望のかたは、看護師・保育士までお声がけください
※ 感染管理上、外来には訪問していません。
ファシリティドッグ「アニー」とハンドラーは、認定特定非営利活動法人 シャイン・オン・キッズが提供しています。
ファシリティドッグについてのお問い合わせは、シャイン・オン・キッズ(info@sokids.org)までお願いします。
もっと知りたい方はこちらをご覧ください。
ファシリティドッグ「アニー」
2016年3月27日生まれ
ゴールデンレトリバーの女の子
神奈川県立こども医療センターには、「ベイリー」というゴールデンレトリバー犬がいます。
当院の事務局に入ると、ベイリーが入り口のソファーに「で~ん」と寝ていて、訪ねてきた人をびっくりさせています。「いらっしゃい。僕、ベイリーって言うの。」とでも言っているのか、驚いて覗き込む人に尻尾をパタパタさせて応えています。
スーツを着て真面目な話しをしている人の横で犬がくつろいでいる姿は、いつ見ても笑ってしまいます。
「病院に犬?何のために?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ベイリーは「ファシリティドッグ(facility=施設・機関)」と言って、当院に常勤勤務する、医療スタッフです。ベイリーは日本初のファシリティドッグとして、トレーニングセンターのあるハワイから5年前に日本にやってきました。静岡県立こども病院で2年半の勤務を経て、2012年7月から当院で勤務しています。
ベイリーのおもな仕事は、入院中の子ども達のもとを回り、触ってもらったり、ボール遊びをしたり、一緒にお散歩に行ったりします。そして手術室まで一緒に行ったり、採血や処置の時にそばにいて不安の軽減を図ったり、歩行訓練や運動療法の付き添いをするなど、治療の手助けもしています。
ベイリーと行動をともにしている「ハンドラー」の私、森田は看護師です。私がかつて看護師として勤務している時、入院中の子ども達の楽しみは、ご飯とおやつしか無いと感じていました。そんな時に、このハンドラーの仕事のお誘いをもらい、「病院に犬がいたら子ども達の入院生活はどれだけ変わるだろう!」と迷わずこの世界に飛び込みました。
ファシリティドッグのハンドラーは、看護師や臨床心理士など、医療従事者である必要があります。それは、ファシリティドッグは「癒し」だけではなく、治療に関わるためです。ベイリーと私は、必要時、患者さんのカンファレンスにも参加します。そして、その患者さんにどのような目的で、何を目標として関わるのかを明確にして介入していきます。
「ベイリーと一緒なら採血頑張る。」「ベイリーに会いたいからまた入院したい。」という子どもも数多くいます。
そして、子ども達だけではなく、そのご家族にとってもファシリティドッグは重要な意味があると感じています。
以下は、亡くなったお子さんのお母様から頂いたお手紙です。
『こども医療センターは、決して辛く悲しい所ではなく家でした。
ホームに、ベイリーもいる。だから、ただいてくれるだけでいいんです。
ベイリーがいてくれる。そう思うだけで。安心で、大丈夫。
どのお母様も、子どもの気持ちを考えます。
闘病をしていても、子どもらしくあれと考えます。
子どもの幸せな時間は、日常の、ほんのちょっとのワクワクする時間。
ほんのちょっとの、優しい時間。
ベイリーは、本当に素晴らしい存在なんですね。
ベイリーは、子どもだけでなく、付き添っている大人にもなんだか嬉しい、秘密のパワーをくれているんだよ。
それはね、ベイリーと直接会っていなくてもベイリーを感じるだけで、しっかりとパワーをもらえるんだよ。経験者が言うので、本当です。本当にすごい。そう思います。
それと同時に、闘病をしている子どもたちにとって、ベイリーがいる環境が当たり前であってほしい。そう願っています。』
入院中であっても子ども達には笑顔でいて欲しい。それはご家族の願いでもあります。
医療に長年関わっていると、採血で子どもが泣くことや、手術室に泣きながら入って行く子どもの姿が当たり前のように感じてしまうことがあると思います。
でも、子ども達にとってそれは当たり前ではなく、ご家族にとっても子どもの涙はとても辛いことです。ファシリティドッグは、その涙を減らすお手伝いをしています。
ファシリティドッグはまだ日本には2頭しかいません。もっと多くのファシリティドッグが活躍する日本になることを願っています。
ファシリティドッグ・ハンドラー
森田 優子
先日、ベイリーが7歳の誕生日を迎え、皆でバースデーケーキをプレゼントしました。バースディソングの間、ベイリーはよだれを出しながらもよく我慢し、合図と共にあっという間にケーキをたいらげ、ひとかけらも残しませんでした。ベイリーはみんなに愛され、当センターではなくてはならない一員となっています。
ベイリーがこども医療センターにやってきたのは、4歳の時でした。ハンドラーの森田さんといっしょにハワイで訓練を受け、静岡県立こども病院で我が国最初のファシリティードッグになった後に、当院に転勤してきました。シャイン・オン・キッズというNPO法人の援助を全面的に受けております。ベイリーは、白いふさふさとした毛並みの大型犬ゴールデンレトリバーで、生まれたときから人間にかわいがられて育てられたため、ほえて威嚇したりはせず、少しも人間を疑う性質はなく、こどもが大好きです。はじめは感染症をうつしたり、毛によるアレルギー反応、犬に嫌悪感を持つ子達などに対し、特別の対策の必要性が懸念されたのですが、適切なルールを設定しましたが、今や働きがどんどん拡大しつつあります。
ベイリーの振る舞いをみながら様々なことを考えます。まずベイリーはかっこいい。白い毛並み、かしこさ、温厚な性格、まっすぐなまなざし。次に、空想の世界に引き込んでくれます。接するものの脳の中にすっと入り、脳のなかで自在にベイリーは駆け回っている。そして、あこがれを呼び起こすのです。こどもたちは、白い龍に乗って空を駆け巡っている時をおもい描きながら、眠りについていることでしょう。
ベイリーが来たことで、小児病院の可能性が広がったように思います。ベイリーは緩和ケア検討会議のメンバーとしても、チーム医療の一翼を担っています。常日頃から多くの方々により小児病院が支えられています。今でも、ボランティアの方々の心のこもった活動に多くの子ども達が、白い治療空間に彩りを与えられました。また、リラの家によって御家族の間の距離が大幅に短縮しました。加えてベイリーはこどもの心に癒しととびはねる力を与えてくれたように思います。
ベイリーといっしょに健やかなこどもの成長と笑顔を願っています。
元総長
山下 純正
当センターの診療は、医療機関等からの紹介予約制になっています。
診療時間は各診療科によって異なります。
詳しくは外来担当医週間一覧表をご確認ください。
〒232-8555
神奈川県横浜市南区六ツ川 2-138-4