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第3回 小児がんセンター市民公開講座
「小児がん患者・家族の支援の輪を広げよう!」を開催しました。

第3回 小児がんセンター市民公開講座 会場の様子1 平成30年3月3日(土)TKPガーデンシティ横浜6階ホール6Bにおいて、第3回小児がんセンター市民公開講座「小児がん患者・家族の支援の輪を広げよう!」を開催しました。今回は、第3期がん対策推進基本計画で取り上げられている、思春期・若年成人(AYA)世代への支援について考えるために、治療や課題等を中心に、医師や相談支援の立場よりお話を伺いました。

 3部構成で、最初は、昭和大学藤が丘病院小児・AYA世代がんセンター小児科の山本将平医師に「思春期・若年成人(AYA)世代に対する小児がん治療と課題について」ご講演をしていただきました。AYA世代とはどのような年代を示しているのか、AYA世代のがん治療の現状と課題について、何が問題になっているのかわかりやすくお話していただきました。第3回 小児がんセンター市民公開講座 会場の様子2昭和大学藤が丘病院では、平成29年4月から、年齢や診療科を超えて、多職種が連携してチーム医療が行えるように「小児・AYA世代がんセンター」が設置されました。山本医師からは、AYA世代患者さんの治療の状況や学習支援の状況等含めてお話がありました。小児がんやAYA世代のがん患者さんが、孤立したり、不利益なことがないように、連携と環境整備の充実を進めていく事が大切と話されました。「NO attack no chance」と何か事を起こさなければ何も変わらないので、こどもたちの明るい未来のために、チャレンジし続ける事が話されました。(当日の資料・・1

第3回 小児がんセンター市民公開講座 会場の様子3 次に、国立がん研究センター希少がんセンターの看護師 加藤陽子さんより、希少がんセンターのこれまでの取り組みを通して「思春期・若年成人(AYA)世代のがん患者さんの抱える問題と支援の実際について」ご講演いただきました。加藤さんは、2014年より希少がんセンターにご勤務となり、希少がんホットラインの電話相談を受けていらっしゃいます。希少がんは、人口10万人当たり6例未満のがんと定義され、全がん腫に占めるがんの割合は15~22%であり、その中には、AYA世代のがんも含まれていることが話されました。そして、200種類にも及ぶ希少がんは、全て病気の特徴が異なること、診療ガイドラインが整備されにいくいことや有効な治療法の開発が進まない現状がある事が話されました。そして、AYA世代のがん患者さんは、正確な情報が得られないことでの混乱や不安、治療法がわからないことやどこに受診すればいいのか等、様々な問題を抱えていることが話されました。AYA世代のがんの患者さんは、年代の背景や希少がんということで個別性も高いため、個々のニーズをしっかりとらえ、個別の情報提供が必要と話されていました。AYA世代のがん患者さんと一緒に、セミナーの企画や情報提供の方法の検討等を行い、患者さんやご家族、社会と協働して課題解決に向け日々奮闘しているお話がありました。(当日資料‥2

 最後に、当神奈川県立こども医療センターの小児がん相談支援室の相談員で、看護師の竹之内直子さんから、「AYA世代の小児がん患者さんへの支援と課題について」話しをしてもらいました。県立こども医療センターで15歳以上のAYA世代の患者さんは、入院患者さんのうち約1割です。小児専門病院という特徴から、小さなお子さん中心の療養環境となっている事や、同世代の交流が限られていることが話されました。そこで、より良い療養環境について考えるために、AYA世代にある小児がん患者さんの入院治療や環境について検討するために、検討会を設けたことが話されました。そして、中学生以上の入院患者が使用できる専用の部屋を設けた事や、中学生以上の患者さんが希望していることは、どのようなことかの意見を聞き、病院内で中学生以上を対象とした映画鑑賞会を開催したことが紹介されました。参加者からは、「中学生以上で静かに観ることができた」や「入院中は映画館に行けないので、とても良い企画」など好評な感想だったそうです。ヨシタケさんイラストまた、入院中も小・中学校は特別支援学校への転籍等で支援が受けられますが、高校生は、義務教育ではないことに加え、院内学級がないので、学習支援も受けにくい状況にあることが話されました。神奈川県や横浜市は、長期入院中の高校生への学習支援体制を作ってはいますが、学校にも十分浸透されていないことや有効に活用できていない状況のようです。患者さんが学習を希望し、学校にご家族がお願いしてようやく、教師派遣が実現できた例も話されました。患者さんは病気になっても、その後に続く人生があり、病気や治療で入院が必要になった時、治療後の進学や就職につながるような体制づくりを、治療中からしっかり整えておく事がとても重要です。患者さんやご家族を中心に、医療・社会・行政、みんなで一緒にAYA世代のがん患者さんの支援を考えて行きましょうと力強く話されていました。(当日資料‥3

 質疑の中では、患者さんのご家族から、治療についての具体的な質問や治療後に気をつけること等の質問がありました。もっと早くにこのような相談の窓口や学習支援のシステムが整っていたら良かったという感想もきかれました。 参加者は48名で、一般の方が15名、医療関係者が33名で、医療機関はいろいろな施設から小児がんに関心の高い方々が参加してくださいました。アンケートでは、全員が内容について「大変よかった」「よかった」とご回答され、とても充実した会となりました。(アンケート結果‥4

 当日ご講演いただいた先生方、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

神奈川県立こども医療センター小児がんセンター長 長場直子

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