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当院の治療方針・成績

白血病

白血病とは

白血病は小児に生じるがんの約40%を占める最も多い病気です。骨の中心部の骨髄という部位では、造血幹細胞が成熟・分化して血液細胞(赤血球・白血球・血小板)が作られています。血液細胞になる前の若い細胞(これを芽球といいます)の段階で分化が止まり、異常に増殖した状態が急性白血病です。この異常に増殖した白血病細胞が正常な造血を妨げることで様々な症状が出現します。

白血病の種類

白血病はいくつかの種類に大別され、小児に頻度の高い白血病には急性リンパ性白血病(ALL:Acute Lymphoblastic Leukemia)と急性骨髄性白血病(AML:Acute Myeloid Leukemia)とがあります。
ALLは若いリンパ系の細胞が増殖した白血病のことで、小児期に発生する造血器悪性疾患の中で最も高頻度に見られる病気です。日本では年間約500人が新規に診断されています。
一方、AMLは若い骨髄系の細胞が増殖した白血病のことで、日本では年間約180人が新規に診断されています。

症状と検査と診断

急性白血病の初発症状は、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・ぐったりしているなど多岐にわたり、特徴的な症状はありません。血液検査では血液細胞数の低下のほかに、本来血液中に存在しないはずの芽球がみられることがあります。症状や血液検査から白血病が疑われる場合はさらに骨髄検査が必要になります。骨髄検査とは背中の腰骨に細い針を刺して直接に骨髄を少量吸い取り、骨髄に含まれる血液細胞を詳しくみる検査です。骨髄中の血液細胞を特殊な染色法を用いて顕微鏡で観察し、遺伝子検査や細胞表面マーカー検査などのより詳細な検査を行い、急性白血病の診断・分類をします。

治療と治療成績

急性白血病の治療の基本はいくつかの抗がん剤を併用することによる化学療法です。白血病細胞は脳脊髄液へ移行していることが多いので、直接に抗がん剤を脳脊髄液の中に投与する治療も併用します。また抗がん剤による治療に伴う合併症に対しての治療も並行して行います。病原体による感染を合併する場合には抗生剤の投与が必要になりますし、化学療法による貧血や出血に対しての血液製剤の投与が必要になることがあります。
近年、小児ALLの長期生存率は80%を超えるようになっています。成績の向上とともに、白血病の治りやすさが患者さん毎に異なることが判明し、治りやすさに応じた治療法を選択することが可能になっています。治りにくい白血病の場合や化学療法の効果に乏しい場合などでは造血幹細胞移植という治療が行われることがあります。

当センターの特徴

当センターでは日本小児がん研究グループ(JCCG)・日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)という国内の小児がん臨床試験を支える多施設共同臨床試験に参加しています。他施設からの症例を数多く受け入れており、化学療法から造血幹細胞移植まで専門的な治療を行っています。
当センターの分子生物学検査室では自施設検査として白血病細胞の表面マーカー解析・遺伝子検査を行っており、迅速、かつ患者さんごとに必要な個別の検査に対応しています。これらの検査結果を参考にしながら、患者さんごとの治療方針についてグループ内で詳細な討議を行っています。

過去3年間の当センターでの新規診療開始症例数(途中転院も含む)

2013年度 2014年度 2015年度
ALL 8 16 20
AML 5 5 2
CML 1 0 0
その他の白血病 1 1 0
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